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パリコレ2018秋冬ユミカツラ(YUMI KATSURA)

YUMI KATSURAの2018年のコレクションがパリ・オートクチュールの日程期間中である今年7月2日にパリにて開催された。前回の2018年春夏に引き続くコンセプトとして「ジャポニスム2018 今、世界に広がる日本の美」とし、日本と西洋の美術作品を用いた作品を30点披露した。日本からは尾形光琳や歌川広重、西洋からはアルフォンス・ミュシャ、グスタフ・クリムトを用いて二つの文化を融合させた。そしてモード界にジャポニスムを積極的に普及したリバティ社が提供したジャポニスム柄よりインスピレーションを受けた作品も登場。作品の背景となる情報と合わせてテーマごとに紹介していく。

  1. ファン・ゴッホ
  2. アルフォンス・ミュシャ
  3. グスタフ・クリムト
  4. 歌川広重
  5. リバティ社
  6. 最後に

ブライダルファッションデザイナーの桂由美は2005年にパリ店をオープンさせてから日本独自の素材や技術、色彩を用いてモダンにデザインをすることを念頭にこれまでも数多くのウィメンズアイテムを発信してきた。2015年以来日本の芸術家の作品をテーマに友禅、絞り、西陣織のドレスを展開し、「YUMI YUZEN」と呼ばれるようになる。しかし今回のコレクションについて「友禅の域を超えていますので、次からは新しいネーミングを考えねばと思っています」と過去を振り返りながらコメントした。

ドレスの布地の模様で絵画のモチーフを表している分、一つ一つのシルエットなどの作りの部分で遊びをきかせているように感じられる今回は、デザインだけでなく素材にも注目したい。ジャポニスムの逆輸入をすることで、ファッションの視点から日本的美しさを再確認できるようになっている。
ジャポニスムの流行までの西洋美術は人をいかに美しく描くかに重点を置いていた時代から、この影響で芸術家たちが植物に注目し始める。ヨーロッパで流行した市松文様や植物など桂由美氏のお気に入りのモチーフをデザインにしたドレスが今回のFashionShowに多く登場する。

1. ファン・ゴッホ

ヨーロッパでジャポニスムが流行したとき、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)がこの文化を好んでいて、浮世絵を買い集めていたり模写をしていたことはよく知られている話だ。以前ゴッホとジャポニスムの展覧会が行われたことも記憶に新しい。全体にゴッホの花畑を描き、そこに歌川広重(1797-1858)の雨の描写を織り交ぜたドレス。上部には少しくすんだ青空の色、下部には《前景にアイリスのあるアルルの眺め》(1888)を思わせる花畑の風景と足元にアイリスの花が描かれている。この風景の中にベージュで斜線状に描かれているのが雨を表現している。通常歌川広重の風景画では雨は黒で描かれるのだが、このドレスではベージュにすることでゴッホの作品の中により馴染むように考えられたのではないだろうか。美術的な観点から見ると、日本の美術は遠近法を無視し平面的に描く特徴があり、2018AWコレクションで披露されたこのゴッホの作品では「前景」と題名につけられている通り、遠近法をしっかりと用いて空間的に表現している。だが、このドレスにおいては平面的であるはずの日本の技法によって、仕立てたことで絵画的になってしまったものから動きのあるドレスへと変化したように感じられる。この絵柄をしっかりと見せるために作りとしては非常にシンプルに仕上がっている。ウエストのモノトーンチェックは着物の帯部分を彷彿とさせる。西洋をベースに和を取り入れたような印象だ。

2. アルフォンス・ミュシャ

アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)はアール・ヌーヴォー様式の代表的存在の芸術家である。はっきりとした輪郭線と彩度の高い色彩はドレスをより一層華やかにさせた。彼が出した連作《四つの宝石》(1900)のうちの一つ「ルビー」に出てくる赤く大きな花を大々的にあしらったものがある。首にもドレスと同じ柄のスカーフが短く巻かれていて、首元から肘あたりまでの袖には宝石を思わせるほどきらびやかだ。ドレスの白い部分は一見空白に見えるが、よく見ると歌川広重の鶴がたくさん描かれている。大きく羽を広げた鶴がその空白を美しく埋めている。ミュシャの花と広重の鶴はどちらも絵のタッチが異なっているにもかかわらず、違和感がまったくないことに驚く。ここにもジャポニスムの影響がある。日本のはっきりと輪郭線を描く形式がヨーロッパに伝わり、中でもミュシャの描き方は特徴的である。この輪郭線こそが日本画の鶴とマッチしたのかもしれない。
同様の柄を用いたミニドレスではしっかりとした素材で仕立てられているため、柄もはっきりと見ることができる。胸元に大きく鶴が描かれているため見つけるのも容易だ。ワンショルダーのドレスだが、袖のついた方の肩はボリュームたっぷりに作られていて、そこに描かれた花が咲いているよう。袖口と襟に紫のリブが付いているのも魅力的で、これによって派手なドレスがキュッとしまって見える。ベルトにも同様の柄が描かれており、さりげなくウエストラインを細く見せてくれる。

「ルビー」を含む連作《四つの宝石》のうちの他二つ「アメジスト」と「エメラルド」をインスパイアしたドレスも二種類ある。エメラルドのグリーンをベースにアメジストの紫色の花が描かれている。肩を落としたフリル付きの袖を引きずっているのが花びらのように見えるドレスと、胸元に大きく赤い花が刺繍されたドレスの二つである。後者は前面にミュシャの花柄があしらわれているが、背面にはモノトーンの市松文様がほどこされていて現代的な作品になっている。袖は「ルビー」のロングドレス同様きらびやかに仕上げているが、こちらでは片腕でかつ鮮やかなブルーが使われている。さまざまな要素が取り入れられていて、色彩もひときわ豊かな一着だ。デザイナーの遊び心を感じる一つであった。

3. グスタフ・クリムト

グスタフ・クリムト(1862-1918)の代表作《接吻》(1907-1908)の男性が着る衣服の模様をそのままに表現したミニドレスは西陣織によってドレスに重厚感を与えた。ゴールドを使用した色使いは美術史から見て琳派の影響が強いと言われている。ゴールド、シルバー、ブラック、ホワイトと限定された色の中で幾何学に散りばめられた四角形の数々。着丈よりも長い袖や首元まで閉めた襟には、作品内の男性のシルエットの不明瞭さに近しいものを感じる。そして作中、顔以外に唯一露出した女性の顔に添える手においても、肘あたりまで深く入ったスリットに現れている。指先に向かって広がる袖口は着物の袖部分のようにも見て取れる。着物のデザインとしても利用できそうなほど織物との相性は抜群。

舞台裏写真はランウェイを歩く直前のようだ。アイシャドウをして最終調整をしている様子。モデルが着用しているクリムトイメージのジャケットがついたドレスは、ミニドレスとは対照的にデコルテを大胆に見せている。西陣織の少し固いイメージとふんわりとしたドレスのアンバランス感はデコルテ周辺の縁に装飾されたフリルによって調和がもたらされている。ウエストから腰あたりまでは身体のラインが現れ、フリルが左右から入っている。渦巻き模様がひらひらと揺れる様は、どこか儚げな印象を与える一着である。ドレスの渦巻き模様もまた、クリムトの《ストックレー・フリーズ―生命の樹》(1905-1909)に見られる絵と同じような模様である。これは琳派の尾形光琳(1658-1716)の《紅白梅図屏風》(江戸時代)の水流に見られるが、ここにクリムトのジャポニスムによる影響があったことがはっきりとわかる部分だ。 がま口のミニバッグは小ぶりながらもゴージャスな雰囲気を高めてくれるアイテムで、日本らしさがより強く感じられる。一人の画家のイメージを表現するだけで、和と西洋の異なる二つを描くことができる点において、グスタフは非常に日本人にとって親しみ深い人物であり、このコレクションの作品にとってもその二面性を十分に表現していて見事である。

4. 歌川広重

歌川広重と芸術家への影響や融合は多く見てきたが、今度は広重を大きく取り扱った作品を紹介する。

先ほどのミュシャと広重の鶴が描かれた赤いドレスとうって変わって、広重の世界観の中にミュシャ風の装飾をした世界観のドレス。なんと手描きの友禅染だというから驚きだ。ミュシャモチーフのアヤメとユリと思われる花と広重の鶴を二羽、背景にはパステルカラーのブルー、レッド、グリーンのグラエーションが美しい。そのまま額縁に飾れそうなほど芸術性が高く仕上がっている。胸部はモノトーンの市松文様を用い、オフショルダーにしている。ボディラインが綺麗に見えるデザインでありながら、非常にシンプルで洗練された雰囲気を出している。ドレスの裾にはタッセルのように緑色で装飾することで華やかさをさらに演出した。そのまま着物のデザインにできそうなほど和風なテイストだが、市松文様によって一気にモード感が出ている。繊細さや大胆さが同時に現れた芸術性の高い作品だ。

広重をイメージしたアイテムにはメンズスタイルも披露された。このパイルジャガードコートにも広重の鶴が左右にダイナミックに刺繍されていた。身頃には日本人にとって馴染みがありそうな花柄。どこかで目にしたことがあるような既視感に近いノスタルジーを感じないだろうか。袖部分のネイビーがより花柄を引き立たせている。キルティングした袖は身頃のどっしりとした重さを邪魔することもなく、また薄いパープルとゴールド、ホワイトの三色で構成された花模様も上品に見せている。大きくとられた折り返し付きの襟は大ぶりな花をのせることで存在感をより強くさせる。手触りが気持ちよさそうな素材に触れてみたいものだ。インナーにも広重の鶴と植物のモチーフが利用されている。西洋風にパターン化されており、リブにはグリーンのラメがあしらわれる。こちらも独特な世界観を持った商品の一つだ。日本らしさが強く出ているルックと言える。

5. リバティ社

リバティ社とは、ヨーロッパにてジャポニスムが流行した時代にロンドンで日本品を取り扱った店のことである。そこは先進的な芸術家がよく集まる場所でもあったそう。リバティ社のテキスタイルはパリの有名デザイナーも採用し、モード界に大きな影響を与えた。今季のコレクションではそんなテキスタイルにインスピレーションを得たアーカイブを復刻させた。

斬新なシルエットで登場したのは、リバティ社のポピー柄のジャガード製ミニドレスである。光沢の使い方がさりげなく気品を感じる。ランダムに描かれたポピーの花も色の彩度が抑えられているため、ごちゃごちゃした印象を与えることはない。ギャザーを寄せ、ボリュームをもたせた袖はポピーの丸みを帯びた花の形を模したようにも見える。襟に付けられたピンクと黒の市松文様のレースは花のがくの部分のようだ。ポピーの茎部分がドレス下部に描かれているが、これはストライプのラインとして捉えることもでき、袖によって横に広がったドレスをキュッとさせているのも見事なデザインである。全ルックの中でも一風変わった雰囲気を持った一着だ。

6. 最後に

今回はユミカツラの芸術家に対する深い敬意を感じさせるコレクションであった。芸術家が表現した世界観を崩すことなく、多様な生地によって再現され、美しく融合していた。あちこちにちりばめられたモノトーンの市松模様は今私たちが生きる現代でもストリート界でチェック柄として流行している。この市松模様を古めかしい柄であると思う人は多くはないように、日本的な文様や植物のモチーフがこれからの時代に広く長く利用されることで流行を作り、定番化されることへの期待のようなものが込められているのではないだろうか。ファッションとアートの親和性の高さは当時の芸術家は気づいていたのだろうか。はたまた、クチュールファッションがアートに近づいてきているのかもしれない。

・デザイナー紹介

桂 由美(Yumi Katsura)
ブライダルファッションブランドYUMI KATSURAを手がけるデザイナー。
共立女子大学卒業後、フランスへ留学。日本初のブライダルファッションデザイナーとして1964年より活動開始、日本のブライダルファッション界の第一人者であり、草分け的存在。
世界30ヶ所以上の都市でショーを行い、ブライダルイベントを通じてウエディングに対する夢を与え続けることから「ブライダルの伝道師」とも言われている。

・ショップ紹介

今回紹介したYUZENラインの国内での取扱いは乃木坂の旗艦店「桂由美ウェディングハウス」、大阪本店およびリーガロイヤルホテル店等で手に取ることができる。

東京本店 桂由美ウェディングハウス
〒107-0062
東京都港区南青山1-25-3
地下鉄千代田線 乃木坂駅(出口3)徒歩1分
TEL.03-3403-7831

大阪本店
〒541-0059 大阪市中央区博労町3-5-1
御堂筋グランタワー1F
TEL.06-6245-1120

大阪リーガロイヤルホテル店
〒530-0005 大阪市北区中之島5-3-68
リーガロイヤルホテルB1F
TEL.06-4803-6788

詳細情報
http://www.yumikatsura.com