MAKAVELIC

ディレクター北嶋直人氏インタビュー

―ブランド設立の経緯を教えてください。

弊社(株式会社レガリス)はもともとカバンのOEMを行っているメーカーで他社様のカバンを製造していたんですが、自社でオリジナルのメンズバッグブランドを始めようということになり、2013年秋冬にマキャベリックを立ち上げました。

私自身、服やカバンなどのファッションアイテムが好きで、ビックメゾンのブランドで経験を積んだ後にこの会社に入りました。また若い頃から東京のカルチャーやファッションに触れてきたというバックボーンもあり、最終的には自分のような人がターゲットになるもの、自分だからこそ作れるものを世の中に生み出したいという思いがあって、マキャベリックの立ち上げを決断しました。

もともとOEMをメインでやってきた会社ですし、ブランド立ち上げメンバーは当初は僕と2名のアシスタントのみ。OEM業務と兼任し、小売りの方法も模索しながらでしたし、しかもバッグ市場の大きさで言えばレディースが圧倒的である中でマキャベリックはメンズブランド。新規立ち上げのリスクはもちろんありました。会社からは全面的に理解を得ながらではありましたが、ブランドとしてマキャベリックを成功させることへのプレッシャーは感じていました。

―株式会社レガリスは他の事業は?

OEMが一番大きな事業ですが、他には主にSMIR NASLI(サミールナスリ)というレディースバッグブランド、そして私がもう一つ運営しているARCHON(アルコン)というアパレルブランドがあります。

―今の北嶋さんに影響を与えているバックグラウンドについて教えてください。

10代の頃からヒップホップやロックなど聴いて育ったこと、自然といつも音楽やファッションに囲まれていたことは大きかったと思います。周りにはDJやアーティスト、表現者としての道を極めた友人も多くいました。僕自身はファッション界のビックメゾンでブランディングを学んだこと、そしてそういった昔からの仲間が協力してくれたことも、マキャベリックが予想よりも早く発展したことに繋がっていると思います。

―ブランド名の由来は?

イタリアの思想家マキャベリからインスパイアされて作った造語です。

―商品のデザインの過程について教えてください。

ブランド発足からしばらくは自分がベースとなるラフを描いてそこから全てデザインしていましたが、今は企画チームと連携してやっています。基本的にまず素材にはこだわりますね。カバンというのは頻繁に買い替えるアイテムではないですし修理しながら長く使う人も多いので、素材には信用性があるものを使うというのは絶対です。

それから機能性も重視します。サラリーマンもリュックで通勤する人が増えましたし、「リュック」という概念が変わってきているなと感じているので、モードっぽいものやストリートっぽいもの、そしてビジネスに使えるデザイン、アウトドア用まで、その人のライフスタイルに合うものが提案できるように色々なコンセプトで作っています。でもマキャベリックの基盤として共通しているのは「クールで都会的」なイメージ。性別や年代を問わず使えるデザインにしているので、お客様の層は幅広いですね。

―海外展開もされていますよね。

海外で取り扱いをしてもらっていることと、他ブランドとのコラボも行っているので認知は増えています。「細かいところに気がつく」デザインが日本のブランドの良さなのでそこは外国の方から特に褒められます。ちょっとしたところですが、たとえばマキャベリックのバッグはすべて、一回で中身が取り出しできるようなデザインにしています。また例えば革なら革で全部一緒でもいいところを、シリーズごとに変えたりもします。こうして機能を盛り込みながらもかっこよさを追求して一つの作品にするというところにはこだわりがありますね。

―コラボはどのように決まるのですか?

自分がコラボレーションしたい先にコンタクトを取るケースや他のブランドからお声掛け頂く時もありますし、周りの人からの紹介もあります。海外のブランドからは直接メッセージを頂くことも多いです。

―KITHとのコラボの背景をお伺いしたいです。

KITHはすごく好きなお店なのでニューヨークに行くと必ず立ち寄っていて「いつかコラボできたらいいな」と思っていたんですが、ある時KITHのオーナーが来日した際に渋谷のマキャベリックのお店にふらっと寄ってくれたようで、カバンを買って使ってくれていたんです。かなり気に入ってくれたとのことで、後日連絡があり、コラボをしないかとオファーを頂きました。まさか自分が好きなブランドからオファーが来るとは思いませんでしたね。

―今後の展望について教えてください。

カバンのブランドとして商品のクオリティは上げていきたいです。それと、日本を代表するブランドとして海外で認知されたい思っています。今ニューヨーク、パリ、韓国の店舗で既に取り扱って頂いていますが、越境ECも含め、これからはアジアマーケットや中国にも進出したいです。

Text : Aika Seto Photo : Takeshi Arita

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