DESIGNER'S INTERVIEW
“これ以上ないリアルなアウトドアプロダクト”を求め、ブランド拠点を谷川岳にほど近い群馬県みなかみ町に移した東京メンズブランド「MofM(manofmoods)」。デザイナー福山正和氏のリアルなアウトドアライフをインスピレーションの源に、都会的なクリエーションを続ける。ストイックでブレない姿勢から生み出されるスタイリッシュなアイテムの数々はシンプルでいて力強い。今回、彼のライフや渓流フィッシングのプロとしての顔、そしてバックボーンについて伺うべくみなかみを訪ねた。
ーまずはブランドのヒストリーについて。拠点を東京から群馬県みなかみに移した経緯は?
代官山でMofM(マン オブ ムーズ)を立ち上げ、今年で15周年を迎えます。
ブランド10周年(2012年)のタイミングに、この先の40代をどう過ごすかを考えたとき、自分はスノーボーダーであり、
原点は10年過ごした山にあると立ち返りました。移住を決めたのは、谷川岳という素晴らしい山との出会いが大きいですね。
Wi-FiもSNSも普及していた頃なので、東京を離れても自分らしさは変わらず発信できるなと思ったんです。
東京はもちろん好きですが、これまで培った技術と人脈を生かしながら、山でやっていこうと決めました。
自分の原点、谷川岳との出合い、IT普及…この3つが重なったことが拠点移動の要因です。
ープロスノーボーダーからファッションモデル、そしてデザイナーへの転身、みなかみへの移住など、大きな転換を幾度と経験されていますが、成功を確信の元に決断してきたのですか?
新しいことに挑戦するリスクより、トライしたい意欲が勝るんです。
絶対にできると信じて実現に向けて全力で取り組みます。たとえうまくいかないことがあってもそれは通過点。
どんな行動も無駄なことはなく、きっと自分が納得できる形になると信じていますね。そして絶対に諦めない。僕はしつこいんです(笑)。
ー毎回のテーマ設定はどこから着想していますか?
僕のリアルライフがそのまま毎回のテーマです。今は生活の一部として渓流フィッシングをしているから、Mountain Stream(渓流)。
リアリティーにテーマは必要ないので、実体験が洋服に反映されているだけのシンプルな物作りをしています。
過去には音楽や映画、写真などからインスピレーションを受ける服作りをしたこともありましたが、僕にはどこか違和感がありました。
今後もリアリティーを大切にする軸だけは変わらずやっていくつもりですね。
ー2018年春夏コレクション「Mountain Stream」について教えてください
前シーズンから引き続き、snow peak(スノーピーク)とのコラボフィッシングベストを製作。
前回はスノーピークらしい天然素材にコーティング加工を施して撥水性や耐久性を高めましたが、2年目の今年は、
通気性の良い機能性素材を使ったり、スポーティーなデザインを重視したMofMらしいスタイルになっています。
カジュアルにデイリー使いできるシャツやジャケット、Tシャツなどにも、ワッペンにルアーをデザインしたり、
フィッシングジャケットのディテールやポケットをあしらったり…デザインソースにフィッシングを落とし込んでいます。
冬場は雪山に60日~90日、夏場は渓流に月25日間くらい、1日2~3時間でもフィッシングに行くので、
「ポケットはこうしたらいいのでは?」「あの素材を使ったら動きやすいかも」など、
フィールドテストも兼ねた実体験からデザインやアイディアから生まれたアイテムばかりです。
ー今後のブランド展開や展望を教えてください
少数精鋭のアイテムをきっちりと作っていくスタイルでありたいと思っています。
ジーンズがシリーズや年代が愛されるように、スタイリッシュで普遍的なアイテムを生み出し、アップデートを重ねていくプロダクト的な物作りを極めていきたい。
(モデル時代含め)約15年ずっと東京のファッションシーンに浸かっていた都会的なデザイン要素と、
スノーボーダー時代と今の生活で培ったアウトドア的要素がミックスした物作りができるのは僕の強みだと思っています。
僕の場合はライフが仕事に直結するので、大量の服だけを作るだけに時間を支配はされたくない。山や渓流で過ごす時間が大切なんです。
少ないアイテムでもこだわり抜いたアイテムだけを発表していきたいですね。
ー2018年春夏コレクション「Mountain Stream」のライブ配信のみどころは?
僕のみなかみでのリアルライフを伝える映像です。シリーズを通して見たときに「この服ってこの場所から生まれたんだ」と感じてもらえると思います。
Designer : 福山正和(Masakazu Fukuyama)
99/00 JSBA中部地区大会優勝、99/00 JSBA全日本選手権優勝。
01年度スノーボード国際大会X-TRAIL JAM in 東京ドームクウォーターパイプ日本人招待選手21人中1位、BigAir2位、決勝進出などの好成績を残し、NIKE、TIME-X, DCSHOECOUSA等10社との契約を結びトップスノーボードライダーとして10年間活躍。
同時期にメンズノンノ、スマート、ポパイなどモデルとしてファッション誌を中心に活躍後、
独学で洋服を学びMofM(man of moods)を立ち上げる。
2016年4月megabass社との正式プロ契約を結び、渓流プロフィッシャーとして活動の場を更に広げる。
MofM(manofmoods) 2018SS Collection
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Teaser Movie:
Director / Cinematographer : Cyoku MATSUBA (scale still life movie)
Editer : Keigo NAKAMURA
Main visual:
Photographer : Anton KARYAKIN
Look:
Stylist : Fumihiko OKABE
Photographer : Masami SUGISAKI
Model : Gasen
Interview: Naoco OKADA