ATSUSHI NAKASHIMA
コラボレーションで彩る回帰的思考
ジャンポール・ゴルチエに師事した経験をもとに、新しい時代に沿ったクラシック・ウェアを提案するATSUSHI NAKASHIMA。 今季はその原点により立ち返った、長い歴史を経て今に残る定番アイテムに、新しい解釈を加えたラインナップが揃った。 枠にとらわれない多彩な才能や技術を散りばめた2018AWコレクションについて、デザイナーの中島篤氏に聞いた。
ー2018AWのテーマについて教えてください
テーマは「INHERIT」です。「INHERIT」は歴史により創造された造形美を継承や回帰的思考という意味を込めてます。
ブランドのコンセプト自体に「ネオクラシック」を掲げ、モダン要素とクラシック要素を持ち合わせているのですが、今季は特にクラシックに寄せたラインナップになっています。
ミリタリージャケットやトレンチコートなど、歴史や時代背景の中で生まれた正統なシルエットを生かしつつ、再構築したデザインになっています。
ー素材にも「INHERIT」のエッセンスがあるとか
そうですね、生地選びや縫製にも「INHERIT」を取り入れています。
例えば、ビンテージのミルスペックタグを散りばめたシャツやブルゾン、コートがあるのですが、これは実在するタグをモチーフに、カットジャガーという技法で、ひと織りひと織り糸を変えながら文字を作るなど、細かな日本の伝統技術が生きています。伝統的な技法を用いることも「INHERIT」に繋がっていますね。
ー「INHERIT」から一転。最新技術を用いたダウンジャケットについて教えてください
オンワード樫山の縫い目がないアドバンスド・ダウン・システム(ADS/同社の独自技術)のデザインを担当させていただきました。機能性はもちろん、イタリア・リモンタ社の生地や、技術力で知られる小松精錬の素材を使用し、軽くて暖かいクオリティーの高いダウンになっています。
服のクオリティーはミラノコレクションでも非常に重要視されますね。ハイブランドに注目が集まりがちなのは、クオリティの高さも影響していると思います。だからこそデザインから生地、縫製に至るまで、クオリティーの向上は今後も引き続き課題ですね。
ー今季のミラノコレクションでも、堂本剛氏がショーの音楽を担当されましたね
堂本剛さんに音楽を担当していただいて4回目のショーになりましたが、今季はショー限定でENDRECHERI(ファッション、ミュージック、アートを融合した堂本 剛氏 ソロプロジェクト) とのコラボレーションも発表しました。新たな試みに挑戦できて手ごたえを感じましたね。
ー今後の展望をお聞かせください
ゴルチエ(ジャン=ポール・ゴルチエ)の元で培った経験をもとに、自分の理想とするクオリティーの高いバッグを作りたいです。
あとは、今季からオフィシャルECサイトを開設しました。
コレクションルックだけでなく、アイテム一つ一つをできるだけ多くの方に見ていただければと思います。
中島 篤 (Atsushi Nakashima)
2001年 名古屋ファッション専門学校 ファッションスペシャリスト科 卒業
2003年 第20回オンワードファッション大賞 グランプリ受賞
2004年 渡仏 ジャンポールゴルチェ アシスタントデザイナー就任
2009年 ジャンポールゴルチェ ディフュージョンライン ヘッドデザイナー就任
2011年 帰国 自身のブランド「ATSUSHI NAKASHIMA」をスタート
2012年 Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO にて2012 AUTUMN WINTER DEBUT COLLECTIONを発表
第3回DHL デザイナーアワード受賞
2013年 ジルサンダーネイビー バッグライン ディレクター就任
2015年 海外デザイナー支援DHL Exported にて日本人初受賞
Milan fashion week にて2016 AUTUMN WINTER COL LECTION を発表
Interview : Naoco Okada
ATSUSHI NAKASHIMA 2018-19 AW COLLECTION
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