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デザイナーズ・ラブ・シネマ

映画の世界観にインスパイアされたコレクション5選

画像出典:FASHIONISTA

映画を見るとその世界観に憧れることがよくある。例えば『LEON』のマチルダのファッションを真似したり、『LA LA LAND』を見た後は明るい色の洋服を着たくなったり、映画をテーマに明日のコーディネートを考えたことはないだろうか。そんな映画の世界観がふんだんに落とし込まれた洋服があれば、さらに気分が上がること間違いなし。そこでデザイナーがインスピレーションを受けた映画と反映されたコレクションを5つ紹介する。

  1. HOUSE OF HOLLAND /『ロミオ&ジュリエット』
  2. ANNA SUI /『グランド・ブダペストホテル』
  3. OFF-WHITE /『理由なき反抗』
  4. DRESSEDUNDRESSED /『鳥』
  5. G.V.G.V. /『クルーレス』

1. HOUSE OF HOLLAND(ハウスオブホーランド)

映画『ロミオ+ジュリエット』をテーマに発表されたコレクションがHOUSE OF HOLLAND の2014年の春夏である。バズ・ラーマンが劇中でカラフルな衣装や大道具を使用したように、このコレクションも豊富な色使いで90年代風である。そのため、レースがついたドレスやタトゥーモチーフのシャツが基本的なデザインとなっている。

画像出典:ROMEO + JULIET INSPIRES HOUSE OF HOLLAND FOR SPRING/SUMMER 2014 / COCO’s TEA PARTY

あらすじ
1996年にバズ・ラーマンによって制作されたアメリカ映画『ロミオ+ジュリエット』は、本来の古典中の古典ロミオとジュリエットのロマンチックな悲劇を一新し、独創的世界観になっている。原作とセリフは同じであるが、時代設定を中世から現代に変更し、物語の舞台はブラジルの架空の都市ヴェローナ・ビーチとしている。そのため、劇中に出てくる衣装は現代風でアロハシャツ、城は高層ビル、剣ではなく銃撃戦である。

画像出典:COCO’s TEA PARTY

劇中に出てくる登場人物は皆様々な色の衣装を身にまとっている。例えば、ロミオは象徴的な青いアロハシャツを着用し、舞踏会シーンではキャラクターのイメージによって色が使われた。舞台がブラジルの都市に設定されているように、コレクションでは全体的に原色に近い、オレンジ、赤、ショッキングピンク、ブルーなどの鮮やかな色が使用された。そのため、ラテンアメリカ、ブラジル、メキシコなどのエキゾチックな雰囲気がコレクションから伺える。

注目すべきなのがコレクションに使われている柄である。劇中の衣装では、カラフルな色使いと共に様々な柄が使われていた。同じように、コレクションにも劇中に使用されたと似たような柄がふんだんにあしらわれていた。例えば、針が刺さっているハート柄がロミオのシャツに描かれていたように、コレクションのシャツにも拳銃が刺さったハートが使われていた。また、最後にロミオとジュリエットが亡くなったのが教会であったように、コレクションでは聖母柄も使用されていた。

この映画自体が1996年公開のため、コレクションは90年代風である。90年代を象徴するスパゲッティストラップや裾についたレース、タトゥープリントが全体的に施されており、カラフルな色使いとともにラテンアメリカの雰囲気を醸し出している。 デザイナー、ホーランド自身、『ロミオ+ジュリエット』の大ファンでもあり、このコレクションの前から彼は、映画のようにギャングの男の子と結ばれた女の子のドキュメンタリー写真を研究し、今日のメキシコシティを反映したものを作りたいと考えていた。コレクションは、現代風の映画『ロミオ+ジュリエット』の影響を大きく受け、その時代の流行や劇中の舞台を呼び起こさせるカラフルな色をふんだんに使い、劇中のアイデアを反映させている。

作品情報
『ロミオ+ジュリエット』(Romeo + Juliet)
 監督:バズ・ラーマン
 公開年:1997年
 出演:レオナルド・ディカプリオ、クレア・デーンズ、ジョン・レグイザモ など
 配給会社:20世紀フォックス

2. ANNA SUI(アナスイ)

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の雰囲気が存分に活かされた2014年秋のコレクション。監督ウェス・アンダーソンの色彩センスはファッションの世界でも色褪せない。

画像出典:映画『グランド・ブダペスト・ホテル』オフィシャルサイト

あらすじ
作家活動に疲れたある男がグランド・ブダペスト・ホテルにて休暇を満喫中。ホテルにはなぜだかお一人様ばかり。その中に憂いを帯びた小さな老人を目にする。彼の名はゼロ・ムスタファ、このホテルのオーナーの富豪だという。興味が湧いた男はディナーをしながら彼の昔話を聞くことにした。食事のテーブルにつくと、老人の回想が始まる。50年ほど前、彼がロビーボーイとして、そして当時のコンシェルジュのグスタフの付き人として仕事をしていた頃のハチャメチャな思い出話たち。常連だった伯爵夫人の殺害事件によって、多くの財産を持っていた彼女の遺書をもとに親族一同が争いを始める。何百もの修正の入った遺書には数ある中でもかなり価値の高い絵画をグスタフへ送ると書かれていた事から、遺産相続の争いに巻き込まれてしまう。グスタフの監獄生活や二人の逃亡計画や事件の真相を握る男の追跡、他のホテルとの結束を表す「鍵の秘密結社」の存在などがコミカルに描かれる。ホテルの名誉を守る男たちの大冒険物語。

2014年アカデミー賞作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞。同年のベルリン国際映画祭では審査員特別賞・銀熊賞を受賞、同年ゴールデン・グローブでは作品賞(コメディ/ミュージカル)を受賞し作品に対する評価も非常に高い。中でもカメラワークの遊びにも注目してもらいたい。キューブリックにも見られる一点透視図法によって部屋の中央にカメラを固定して動かしているような感覚や、直線的な動きが感じられ、セットなどの背景を含めた色彩も楽しむことができる。

画像出典:NOWFASHION

殺害された伯爵夫人が最後の宿泊時に着用していた真紅と黒のコントラストが美しい服装は、色味をそのままにランウェイに登場した。コレクションの自由で豊富な色使いはホテル内のカラフルな部屋や衣装にも見ることができる。ホテルマンの紫色のスーツとANNA SUIのブランドカラーが一致し、どちらにも共通するメルヘンでミステリアスな雰囲気は相性抜群。このブランドの服を身にまとえば、映画の世界に入り込んだ気分にもさせてくれるだろう。

色使いと共に目が行くのが、柄の多様さである。一着ごとに異なるパターンの数々に圧倒される。花があしらわれたものが多いが、中には龍などの東洋風、西洋風の城やペイズリーまである。柄が全体に及んでいるのにもかかわらず上品で、まとまっているようにも見える。こちら側のコーディネートのバランス感覚が問われるコレクションのように思う。ヴィンテージショップに足を踏み入れたかのような心踊る感覚は、この映画を見ている時のおもちゃ箱の中を覗いているような気持ちに似ているのかもしれない。 劇中でホテル内のいざこざに関する話題はなかったが、グランド・ブダペスト・ホテルに宿泊する客はきっとこのような服装をしていたに違いない。そんな想像をするだけでも非常にワクワクさせられる。

作品情報
『グランド・ブダペスト・ホテル』(THE GRAND BUDAPEST HOTEL)
 監督:ウェス・アンダーソン
 公開年:2014年
 出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラハム、エドワード・ノートン など
 配給会社:フォックス・サーチライト

3. OFF-WHITE(オフホワイト)

『理由なき反抗』からインスパイアを受けたコレクションが2019年春夏。コレクションのタイトルを映画の主人公「Jim Stark」にした。

画像出典:Pop Goes the Culture!

あらすじ
17歳の少年ジム・スタークは酔っ払った状態で警察に連行されていた。同じタイミングで警察署にいた少女ジュディと少年プレイトーに絡み出したり、家族に対する不満を漏らすジム。彼の家族はジムが友人関係でうまくいかなくなる度に引っ越しを繰り返していた。彼はそんな家族の心配も無視し、引越しの理由を自分に押し付けているだけだと歯向かってしまう。三人とも帰宅が許された翌日、ジムは新しい学校でジュディと再会するも、彼女は不良集団と一緒につるんでいた。一方、あの不良たちとは友達にならなくていいと助言する少年プレイトーとも再会を果たす。ジムの突飛な言動に不良たちは目をつけ、チキンゲームによる度胸試しを挑む。このゲームの結果から引き起こる事件には10代の彼らの悲痛な叫びがこだましていた……。

考えていることとやることが違うのだという台詞から10代特有のどこに発散していいかわからないうごめく感情をよく表している。親のことを大切に思っているにもかかわらず、ぶっきらぼうな態度をとる姿は学生時代の自分の過去の姿を想起させるだろう。「チキンゲーム」が広まったのはこの映画の影響だと言われている。少年たちと自分が同じくらいの歳の時抱えていた感情は時代を超えても変わらない。作品が長く愛され続けるわけだ。

画像出典:VOUGE.COM

赤いジャケットは映画のポスターやジャケットでよく目にしたことがあるだろう。ジェームズ・ディーン演じるジム・スタークのトレードマークとも言えるハリントンジャケットだと一目でわかる。これをGジャンへと形を変えたジム・スタークが歩いていた。ルックにはTシャツにジーンズのスタイリングが多く見受けられるが、これも少年たちによく見られる格好である。また、どのスタイルでもTシャツをタックインしているところにも時代性が抑えられている。ストリート全開のルックは映画が放映されていた1950年代的でもあり現代でも古く感じさせない。

ジーンズは様々な加工が施された。サイドの縫い目が大胆に斜めに入っているもの、ワークパンツのようなポケットがつけられたり、細身でラインの美しいものからひざ下から太くなる個性的なシルエットまである。たくさんのOFF-WHITEの文字がペイントされたアイテムは特徴的であった。

また、ジャケットや革ジャンを着る少年も多かったが、コレクションではかっちりとしたジャケットは登場しない。ここには、一人前の男になりたいという彼らの意思をジャケットに投影しているが、OFF-WHITEはそんな彼らの中にある少年らしい一面を表そうとしているのかもしれない。彼らの心を表現するために、ジャケットを脱がせたのだ。

作品情報
『理由なき反抗』(REBEL WITHOUT A CAUSE)
 監督:ニコラス・レイ
 公開年:1955年
 出演:ジェームズ・ディーン、ナタリー・ウッド、サム・ミネオ など
 配給会社:ワーナー・ブラザース

4. DRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)

アルフレッド・ヒッチコックの代表作『鳥』にインスピレーションを受けたのが2014年春夏のコレクション。テーマタイトルは「Starling」(ムクドリ)だった。

画像出典:gettyimages

あらすじ
ペットショップで鳥を注文していたメラニーはそこで弁護士のミッチと出会う。彼もまた妹のためにある鳥を探していたが見つからなかった。2人は初対面かと思いきやミッチは彼女の名前も顔も知っていたにもかかわらず、彼女に名前も名乗らず去ってしまう。彼の名前や居場所の情報を得ると、彼が欲しがっていたラブ・バードを彼の住まいまで届けようとする。道の途中湖を渡っていると、カモメに襲われたメラニーはミッチに助けてもらい、ラブバードのお礼も兼ねて夕食に誘われる。そこで2人の距離は近づいていく。その晩道すがら友人になった小学校の先生アニーの家に泊まるが、彼女の家に一羽のカモメが衝突し死んだ状態で見つかる。翌日ミッチの妹の誕生日パーティーを開くと、昼にはカモメの群れに襲われ、夜はスズメの大群が家に侵入した。鳥の襲撃は町全体にも及び、頻度は増えていく一方。ミッチの家のドアや窓を塞ぎ、メラニーはミッチの家族と共に身を潜めるも、鳥が彼女を襲う。ミッチの家族がとある行動に出るが、果たして彼らは助かるのか、鳥から逃れられるのか……。

カゴの中の鳥は人を傷つけず、野生の鳥は人間を襲う。ここに人間とペットという支配関係と、人間が支配できない自然の脅威のようなものが野生の鳥たちに現れているのではないだろうか。我々は支配することでしか平和を保つことができない存在なのかもしれないという虚しさがあった。 街中で鳥の大群やバサバサと広げる羽の音など、映画を見るまでは感じることのなかった恐怖を植え付けたヒッチコックの腕が光っている。鳥類恐怖症になる恐れあり。これから観る方は気をつけて。

画像出典:coromo

まだら模様のシャツは映画で何百もの鳥たちが街をかき乱している最中と重なって見える。鳥のシルエットではないが、全ルック内で唯一の柄の入ったアイテムで存在感を放っていた。そしてレザースカートや短めのショートパンツをメンズに取り入れ、ジェンダーレスのような区別のない混沌とした感じがシャツにも現れていたのかもしれない。

男女ともに体のラインが美しく見え、無駄のない洗練された空気感を感じさせる。ウエスト辺りに着用しているコルセットのようなレザーのアイテムは黒のボトムスと合わせればシルエットづくりに悩ませることもないだろう。はっきりとした色合いの中に混沌さを生み出すデザインは非常に魅力的だ。

中でも目がさめるほどくっきりとした青は鳥が羽ばたく青空や、ミッチの家族お揃いのブルーの瞳を思い出させる。コレクションのキリッとした冷たい雰囲気はパニック映画の緊張感と似たものがあるのかもしれない。洋服から感じられる無機質さ、限定された色から見える様々な顔。映画を見たときの衝撃が今回のテーマの力強さと繋がっている。

作品情報
『鳥』(THE BIRDS)
 監督:アルフレッド・ヒッチコック
 公開年:1963年
 出演:ティッピー・ヘドイン、ロッド・テイラー、スザンヌ・プレシェット など
 配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

5. G.V.G.V. (ジーヴィジーヴィ)

映画『クルーレス』からインスピレーションを受け発表されたG.V.G.V.の2014年春夏コレクション。劇中のように、コレクション全体が90年代風のデザインになっており、ポップでチャーミングな世界観が表現されている。

画像出典:ELLE

あらすじ
アリシア・シルヴァストーン主演の青春映画『クルーレス』は、当時の女の子たちの間でファッションバイブル的な存在として人気を集めた。“CLULESS”とは日本語で”ダサい“という意味で、ビバリーヒルズのセレブ女子高校生シェールがダサい女の子を変身させイケイケ女子にさせようと奮闘する物語である。主人公シェールは、ショッピングやファッションが大好きで学校では、人気者として脚光を浴びていたが、ある失敗をきっかけにこれからは人のために役立てることを大切に、行動すると決意する。シェールはおしゃれが大好きで自分らしいファッションスタイルを持っているので、今でも参考にできるスタイルが劇中でたくさん見ることができる。

画像出典:FASHIONPRESS

コレクションで注目すべき点が90年代を代表するニーハイとミニスカートの組み合わせである。劇中でも主人公シェールとその親友たちはチェック柄のミニスカートとニーハイを合わせてアウトフィットにひねりを加えている。G.V.G.Vのコレクションでもニーハイにミニスカートの組み合わせが多々使用されている。

そして次のポイントが厚底シューズである。厚底シューズも90年代を代表するファッションアイテムで、映画『クルーレス』でも着用されている。しかしG.V.G.V.で発表されたアイテムは、映画のようなガーリーさに加えてエッジィさも付け加えられている。というのも、G.V.G.V.の元々のブランドコンセプトは女性らしさ”femininity”だけにとらわれるのではなく、男性らしさ”masculinity”も同居するオリジナルな世界観を目指しているため、映画のキュートな雰囲気にプラスしてロックでパンチの効いた黒や赤などを使ったデザインも見受けられる。

G.V.G.V.のコレクションで注目すべきなのが色使いである。映画でも薄ピンクや黄色、水色などの女の子らしいパステルカラーがふんだんに使用されたように、コレクションでも同様パステルカラーがよく使用されている。トップス、ボトムスだけでなくサングラス、ソックスなどの小物類もパステルカラーがあしらわれており、映画の雰囲気を表現している。 G.V.G.V. 2014年春夏コレクションは映画『クルーレス』の時代設定である90年代のファッショントレンドを取り入れ、それに加えブランドのオリジナリティも同居したガーリーでエッジーなデザインとなっている。

作品情報
『クルーレス』(CLUELESS)
 監督:エイミー・ヘッカーリング
 公開年:1995年
 出演:アリシア・シルヴァーストーン、ステイシー・ダッシュ、ブリタニー・マーフィ など
 配給会社:パラマウント映画

 Text : Midori Namekata / Chizuru Ikeda